2024年 予備自衛官補採用試験の内容と感想

2024年度の予備自衛官補採用試験を受けてきました。

この記事は試験に関する情報共有のために残します。

概要

予備自衛官補の採用試験は春と秋に実施されますが、通常は春で定員を満たすために秋の補充試験が行われることはありません。

実は私は10年ほど前の学生時代に予備自衛官補の採用試験に受かり、何度か訓練出頭した経験があるのですが、当時の試験を思い出しながら臨みました。

学科試験

高卒程度の学力レベルを図られる選択問題式のテストが行われます。

2024年現在はWEBにて実施しており、社会人や学校生活の忙しい学生でも対応しやすくなっていると思います。

スマートフォンで受験が可能で、内蔵カメラで録画(不正防止)をされながらポチポチと回答していく流れです。

試験そのものは難しいとは言い難いのですが、数学から離れて久しい私は「連立方程式ってどんなんだっけ」「サイン、コサイン、タンジェント懐かしいけど忘れた」となりました。予習は大切です。

しかし、多くの問題は一般常識を問われており、日本語が通じないレベルの人を振るい落とすのが目的ではないかと思うほどにシンプルな問題です。

例えば以下のような問題が出ます。

Q1:A君はB君より10分早く家を出た。目的地は同じである。この場合A君とB君はどちらが先に目的地に着くか。

1:A君のほうが早く到着する。

2:B君のほうが早く到着する。

3:二人同時に到着する。

4:どちらが早く到着するか分からない。

Q2:次の文章のうち並び替えても意味が通じない文章はどれか。

1:私は

2:愛している

3:あんまり

4:とても

5:家族を

口述試験(面接)

面接官と面接を実施します。しかし面接と言いつつも圧迫面接の対極にあるかのような朗らかなムードで進行します。

着席後にまず言われたのが「緊張しないでください。面接といってもここで落とそうとはしていません。あなたのことを教えてください」という優しい言葉です。

入隊式を迎えるまでは妙に優しい教育隊の班長と同じ不気味さを感じますが、実際のところ試験中は終始和やかに進みます。

聞かれることも当たり障りのないものばかりで「ご家族は予備自衛官補になることを知っていますか?」「勤め先は予備自衛官補になることを知っていますか?」「訓練に出頭はできそうですか?」と、当たり前のことを優しく聞かれるだけです。

この口述試験も明らかに意思疎通の図れない人がいないかを見ているだけなのでしょう。

身体検査

人によっては鬼門になるのが身体検査です。

学校や会社で実施されるような健康診断に準拠した内容で、駐屯地内の医務室にて衛生科の隊員や医官によって実施されます。医務室は古い総合病院みたいな佇まいで、医師や看護師が迷彩服を着ていることを除けば民間の病院と大差ありません。

身長・体重・血圧・尿・視力・歯科・胸部X線と結構本格的に検査が行われます。最近の若い人だと経験がないと思いますが色覚検査も実施されます。

石原式と呼ばれる様々な色の無数の円が描かれ、見える数字を答えるというものです。かつては全国の小学校の健康診断で実施されていたのですが、色弱であっても日常生活に不都合が少ないことから平成の中期には一般的に検査が廃止されています。今も残っているのは自衛隊や警察、航空機のパイロットなど限られた職種の採用試験くらいです。

他にも関節の動きを見るための簡単な運動を行います。手足を言われたとおりに動かしたり、片足でバランスをとったりと基本的な身体機能があれば問題なくクリアできると思います。どのグループも一人はてこずる人がいるのですが。

ちなみに10年前は開始から終了までパンツ一丁のほぼ裸でしたが、今は最後の医官の問診時以外はTシャツと短パン姿に変更されていました。いろいろあるのでしょう。

服装

最後に、口述試験時の服装についてです。

多くの試験会場は駐屯地などの自衛隊施設で実施されます。特に服装指定はされていませんが常識的な格好、面接試験なのでスーツが無難でしょう。スーツでないにしろある程度フォーマルなほうがTPOに合っているかと思います。

そしてどのグループにも一人はいるのですが、ゴリゴリのミリタリーオタクな格好で参加するのはやめたほうが無難です。駐屯地という軍事施設に入れるのでうれしくなる気持ちは分かりますが、いい歳して本職の前で恥ずかしげもなくタクティカルシャツやブーツ、バックパックにブーニーハットという場違いな格好をするのは常識がないのかなと思ってしまいますし、何より見ていて恥ずかしい。格好いいと思われることもありません。

アインシュタインはかつて「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」と述べたそうですが、社会が円滑に回るためには常識という強制的な暗黙の了解が必要なのもまた一つの真理だと思います。

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