序盤は平和で愉快な世界、終盤は目も覆いたくなり様な惨劇。
この急激な落差を違和感なく描写して人気を博したシリーズ
ひぐらしのなく頃に
序盤がのんびりほのぼのしているだけに、中盤から終盤の惨劇パートにはそれまでに築いてきた平和な世界をぶち壊されトラウマ的な衝撃を受けること必至です。
今回は、ひぐらしのなく頃に、ひぐらしのなく頃に解で描かれたトラウマシーン3選を紹介します。
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鬼隠し編での圭一の状況と罪滅し編で描かれた真相
東京から引っ越してきたばかりの主人公、前原圭一は学校の友人と親交を深め、村からも受け入れられるという順風満帆な新生活を送っていました。
しかし、かつての雛見沢で発生したバラバラ殺人事件の存在を知ったことをきっかけに、彼は村中を敵に回す状況に追い込まれていきます。
今まで仲の良かった友達は自分のに危害を加えようと動き出し、村全体が彼の動向を逐一監視していると思うようになりました。
結果、身の危険を感じた圭一は、友人二人を撲殺するという暴挙に走り、さらに自身の首を掻きむしったことによる失血死という非業の最後を遂げるのです。
余所者である自分を受け入れてくれた村、心の底から好きになれた親友を得た矢先に襲い掛かる不条理な状況は周囲のすべてを信じられなくなる恐ろしさがありました。
さらに悲惨なのは、我々読者に齎されるこれらの状況は圭一視点での情報であり、実は彼だけが狂ってしまったことにより起きた惨劇だということです。
友人は圭一による死の危機に瀕しても、なおも彼が正気に戻ることを信じて手を差し伸べていたのです。
鬼隠し編の世界ではだれも救われることなく幕を閉じてしまったという悲しさがより助長される描写でした。
綿流し編、目明し編の詩音の凶行
狂気に取りつかれた園崎詩音が、想い人である北条悟史の失踪の原因だとして、妹の北条沙都子を残虐な方法で苦しみを与えて惨殺します。
拘束台に縛り付けた沙都子の腕に何度も何度も何度も何度も刃物を突き刺します。地下深くに囚われた沙都子の悲鳴はどこにも届きません。
近くの牢屋には魅音が監禁されていました。彼女は必死に沙都子を殺さないでと詩音に懇願しますが、詩音は悪趣味なゲームを始めます。
「1,000回ごめんなさいと言えたら沙都子を殺すのをやめよう」と。
ここから魅音の怒涛のごめんなさいラッシュが始まりますが、その間も拷問の手がゆるもことはありません。結果、言い終える前に沙都子は顔面への一突きを喰らい脳挫傷により死亡します。
祟殺し編、皆殺し編で描かれた雛見沢大災害(滅菌作戦)
ほぼすべての世界で発生する雛見沢大災害は鷹野の強固な意志により発生するイベントであり、人為的に雛見沢の村人全員を抹殺する滅菌作戦です。
老いも若きも全員が自衛隊の専門部隊により無慈悲に殺害され、その遺体は無造作に一か所にまとめられます。その遺体の中には圭一たちと親交のあったクラスメイトや学校の先生、他の登場人物体も含まれます。
滅菌作戦は圭一たちが経験する様々な惨劇とは一切関係なく発生し、落ち込んだ気持ちをより深く深淵へと引きずり込みます。
まとめ
「ひぐらしのなく頃に」のテーマは、仲間を信じ、許し、協力することによる成長と成功です。
一人では何も成し遂げられず、協力が足りなければまたしかり。
それをテーマとしているため、大団円を迎える祭囃し編までは間違いを犯し凄惨な惨劇へと突き進むキャラクターたちが描かれます。さらに、物語の前半は和気あいあいとした楽しげな日常が描かれ、その緩急に心が受けるダメージはより大きくなります。
失う辛さを理解するには、一度は手にしていたという経験が必要です。
それを味わわされる「ひぐらしのなく頃に」の物語構成は多くの読者にトラウマを与えたことでしょう。
今回紹介した3つのほかにも多くの惨劇が描かれます。
しかし、忘れてほしくないのは、それらはあくまでも避けるべき世界であり、最悪の結末を見せることで信頼と努力の大切さがより際立つのです。決して残虐な描写を楽しむための作品ではないということです。
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