新世紀エヴァンゲリオンに登場する人型決戦兵器たる人造人間エヴァンゲリオンは、制御システムであるコアとパイロットがシンクロするのに特別な条件を求められます。
それはコアに封入されている人物の魂とパイロットが母子関係にあることです。
つまり、基本的には各エヴァを操縦できるパイロットは固定されており、別人が操縦することは出来ません。
その例外が3つあります。
- 碇シンジが零号機とシンクロできる
- 綾波レイが初号機とシンクロできる
- 渚カヲルが弐号機とシンクロできる
今回は3のカヲルが他のエヴァとシンクロできる理由について解説・考察します。
なお、設定はアニメや漫画、旧劇場版に準拠します。
渚カヲルがエヴァ弐号機とシンクロできる理由
上述の通り、基本的にはエヴァンゲリオンとパイロットの関係は固定されており、パイロット間といえども機体の貸し借りはできません。
現に、シンジとレイがシンクロの互換テストを行った際にはアスカと弐号機は参加しませんでした。つまりアスカと弐号機は替えの効かない存在同士ということになります。
しかし、カヲルがフィフス・チルドレンとしてネルフに配属されたのちに実施されたシンクロテストでは、コアの書き換えもせずに弐号機とシンクロするどころか、自由にシンクロ率を操作できるというテスト結果を残しました。
さらにカヲルが使徒としてターミナルドグマに侵攻した際は、無人の弐号機を遠隔操作し、隔壁の突破や追撃してきた初号機との応戦に使用しました。
つまり、カヲルはシンジらパイロットとは異なり、エントリープラグを必要とせずシンクロすることが可能ということです。
この理由について作中でカヲル自らが語っています。
「弐号機と僕は同じ身体でできている。魂さえなければ同化もできる。弐号機の魂は今閉じこもっている」とのこと。
つまり、魂を仲介にシンクロしているパイロットとは異なり、同一の肉体を持つ者同士でシンクロをしているということでしょうか。弐号機に魂が存在するために同化はできないものの、意思なき状況の弐号機を遠隔で自由に動かすことは出来るということですね。
他の使途がエヴァとシンクロできない理由
使徒であるカヲルが弐号機を意のままに動かせるということは、他の使途も弐号機とシンクロできるのかという疑問を持つと思いますが、作中でそのような描写はありません。
基本的に使徒と相対する状況というのはエヴァにパイロットが搭乗し起動している状況だからとも考えられますが、例えば弐号機の海上輸送中に襲来したガギエルは無人の弐号機に対して何もアクションを取りませんでした。
この時点での弐号機の魂が「閉じこもって」いなかったとも考えられますが、そもそもカヲルと他の使途の「肉体」には大きな違いがあるということが関係していると考えられます。
「同じ身体でできている」「魂さえなければ同化できる」とは?
渚カヲルという使徒は人間が生み出した人工の使途であることはご存じでしょうか。
ここから以下の考察をしました。
ゼーレにより培養された肉体に、セカンドインパクトで破壊されたアダムから魂を抜き出し、それを封入している存在がカヲルです。似た存在としてリリスの魂の入れ物たる綾波レイが存在しますが、レイの肉体が人間(碇ユイ)のクローンなのに対して、カヲルはアダムの情報をもとに作り出された肉体(≒使徒)であるという点が異なります。
そしてもう一つ忘れてはならないのが、エヴァ弐号機以降の機体はアダムの情報をベースに建造された人造人間だということです。
つまり、エヴァ弐号機とカヲルは大きさこそ違えどアダムベースの人造人間という要素は同一であり、それによって他の使途には不可能だったエヴァとのシンクロが可能なのだと考えられます。
更にカヲルの魂はアダムそのものであり、アダムから生み出されたモノ(他の使途やエヴァ弐号機以降)に魂さえなければ自分の身体であることと同義です。
使徒もエヴァも魂を有しており、肉体は同じであれどアダムとは別の存在であるために同化は不可能だということが分かります。
初号機を遠隔操作・もしくは事前に破壊しなかったのはなぜか。
ターミナルドグマを進行するにあたって最大の障壁になるのはエヴァ初号機です。
弐号機とシンジはシンクロできないため、アスカが廃人になっている以上は放置していても脅威とはなりません。カヲルは初号機を使えば全ても難関を突破できていたのです。
しかし、カヲルは弐号機を選びました。
もちろん理由があります。
まず、弐号機以降の機体はアダムベースですが、初号機はリリスベースの機体であることが関係します。
上述の通り、カヲルが操作あるいは同化できるのはアダムベースかつ魂がない(あるいは活動を停止している)存在だけです。つまり(ユイの)魂はあるわ身体はリリスから作られているわで、カヲルには手出しのできない機体だったことが分かります。
次に、事前に破壊しなかったのは、サードインパクトによる人類の滅亡に対してカヲル本人がそこまで乗り気でなかったことも関係します。人類(シンジ)に対して生き延びるチャンスを与え、彼の手によって止められるのであればそれもやむなしと考えていたのです。
とはいえ、使徒としての使命を忘れたわけではなく、そのために初号機に応戦できる弐号機を連れて行っています。この状況はカヲルにとって妥協できるギリギリの線だったのでしょう。
まとめ
カヲルの登場はアニメ版においてはたったの一話に過ぎません。にもかかわらず作中世界の根幹にかかわる存在として、そしてミステリアスな雰囲気を醸し出す美少年キャラとして非常に人気の高いキャラクターです。
彼の一挙手一投足には意味が込められているのだという前提で見直してみると新しい考察ができて楽しいかもしれません。
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