世間には火山性ガスの噴出による災害として認知されることになる雛見沢大災害。
その実態は2,000人の村民が一斉に雛見沢症候群の末期症状を急性発症した結果、周辺自治体への被害を食い止めるためのフェイルセーフとして考案された「緊急マニュアル第34号」により発動される、通称「滅菌作戦」です。
鷹野はこの滅菌作戦を自身の野望のために利用した「終末作戦」を多くの世界で引き起こしてきました。
古手梨花の死をトリガーとして発動される「緊急マニュアル第34号」とはどのような内容なのか、徹底解説していきます。
滅菌作戦下の雛見沢の様子が詳細に描写された皆殺し編をベースとします。
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内容
複写厳禁・持ち出し厳禁
本マニュアルの許可無き閲覧はこれを厳禁とする。
決裁基準
本マニュアルは最高決裁者の決裁を以ってのみ適用される。如何なる難易決裁もこれを認めない。
また決裁者は本マニュアル適用の決裁に当たっては可及的速やかに判断すること。
ここでいう最高決裁者とは内閣総理大臣のことです。日本のトップの決定によってのみマニュアルの適用が始まります。そのため、一般社会に露見こそしないものの、村人2,000人を殺処分する命令を下した首相は何かしらの責任を負うことになりますし、敵対派閥にとっては責任追及の良いネタになります。
対応不能な事態が発生し最高決裁者がそれを認められる場合、機密保持と外部発覚阻止のため、入江機関(以下機関と表記)は最終的解決を決定しなければならない。
最終的解決とは以下のことを示す。
L2以上の潜在患者全員の処分。
機関施設の完全な証拠隠滅。
本マニュアル適用の隠蔽。
施設長は上記を事態を発生から48時間以内に遂行しなければならない。
不測の事態により施設長の指揮が困難な場合、長官がこれを兼務する。
遂行に当たり施設長は長官に対し、応援を要請することができる。
ここでいわれている「長官」とは「防衛庁長官」のことです。当時は防衛省ではありませんでした。
滅菌作戦に動員されるのが自衛隊である以上、防衛庁長官が最上級の指揮者になるのは当然でしょう。
マニュアルの適用が決定次第、入江機関は行動を始めなければなりません。
L2以上の感染者の処分とありますが、雛見沢の住人は全てL2の感染段階にあるため、老若男女問わず殺処分の対象となります。
並行して、診療所地下区画の完全封鎖およびマニュアル適用の痕跡を消します。
これらの能力を持つのが入江機関に配備されている山狗です。
ガス災害偽装及び交通遮断
交通封鎖部隊は警察官に偽装し、雛見沢地区を外部より遮断する。
その際、自然ガス災害であるように偽装すること。
偽装のための装備は谷川内地区旧採石場跡に厳重に秘匿した上で、備蓄するものとする。
又、装備は常時使用に備え維持点検を行うこと。
外部からの侵入、内部からの脱出に対しては、偽装ガスもしくは退却命令を以ってしても応じない場合、発砲を許可するものとする。許可権限は機密保持部隊長に委譲するものとする。
作戦は深夜に行われたために村を出入りする人間の数は多くないでしょうが、感染者の封じ込めと機密保持の観点でいえば決して軽視できない要素です。
ガス災害の偽装装置は滅菌作戦中に正常に稼働しているのが示唆され、避難誘導を受けている村人が硫黄の匂いを感じ取っています。
通信手段の遮断
通信工作部隊は雛見沢地区から外部へ発する有線無線を含むすべての通信手段を遮断すること。
遮断に当たって外部に不信感を抱かれぬよう厳重に注意すると共に、作戦時の必要最低時間のみの運用とする。
通信施設は交通遮断地域内にあるため、通信工作部隊は通信施設に接近する全ての民間人に対し、発砲を許可するものとする。
許可期限は機密保持部隊長が通信工作部隊長に委譲するものとする。
皆殺し編の終盤で、通信設備に工作をしている山狗に職務質問をかけた大石と熊谷が射殺されるシーンがこの項目に当たります。
作中の時代には携帯電話が民間に出回っていないため、通信施設を妨害するだけで電話は使用できなくなります。
またアマチュア無線機等の対策もされており、妨害電波によるジャミングが展開されているため村外との交信は不可能です。
潜在患者の集合
機密保持部隊本隊は雛見沢地区災害時集合場所に潜在患者全員を集合させること。
集合手順については別紙を参照のこと。集合後は厳重に点呼を行い全員の集合を確認すること。
この際、ガス災害偽装を潜在患者に疑われないように厳重に注意すること。
又、集合の妨げとなるため家財の持込は厳禁とする。
但し、疑いを招かないため、通帳、印鑑の類の貴重品持ち出しを認めること。
集合命令に従わないものに対してはやむ終えない場合のみ発砲を許可するが、機密保持部隊長はこの許可を容易に出してはならないものとする。
災害派遣を装っているため、基本的に村人は逆らうことなく避難誘導に従っていました。それどころか自治区ごとに区長が的確に指揮し、率先して隊員に協力しています。
古手梨花の死後に作戦が開始されるため、信心深い村人の中には「オヤシロさまの生まれ変わりたる梨花が殺されたから村が終わるんだ。自分も村と一緒に死ぬ」と避難を拒む者もいましたが、現地の隊員に励まされ避難誘導に従いました。
この時の隊員は、自らに課せられた任務の重要性を理解し心を殺して職務に当たっていましたが、彼らがこのあと皆殺しに合うことを知っており防護マスクの下で涙を流していました。
潜在患者の処分
機密保持部隊本隊は集合させた潜在患者を速やかに完全処分すること。
処分に当たっては、ガス災害偽装を疑われないよう注意すること。
又、人道的な手段を以って対応する努力をしなければならない。
処分時にトラブルが発生し、鎮圧上やむを得ない場合にのみ、機密保持部隊には発砲が許可される。
許可権限は機密保持部隊長が持つものとする。
射殺体は行方不明として処分するため、偽装死体と混入しないよう注意。
村に点在している避難場所に集められた村人たちは密閉空間に入れられます。そこに致死性の有毒ガスが流され次々と命を落としていきます。人道的配慮を示されているように、描写を見る限りは苦しむことなく即死する類いのガスのようです。
しかし、避難場所に集められた人々は、周りの人が次々と倒れていく様子に恐怖し、窓を叩き割って屋外へ逃走しました。
そこを待ち構えていた隊員に次々と射殺されていきます。雛見沢の駐在警官が応戦するケースもありましたが、多勢に無勢というか、警官が自衛官に撃ち合いで勝てるわけもありません。
無線交信によるとかなりの脱走者が出ており山の中に逃げ込まれたりもしましたが、最終的には全員が確保されています。
射殺死体に関してはガスの発生源と偽装された沼に沈められ、ガス封じ込めのためにコンクリートで固めるという名目で隠されます。
機関施設の隠蔽
施設処理部隊は機関施設の重要機密回収(別紙参照193点)と証拠隠滅を行うこと。
証拠隠滅に関しては別紙参照のこと。
重要機密回収にあたっては機関研究員の指示を受けること。危険物が含まれるため搬出には、細心の注意を払うこと。
秘匿区画は厳重閉鎖とする。気密扉は溶接、地下区画は注水封鎖。区画入り口は溶接の上、厳重に偽装すること。
尚、秘匿区画の完全撤去を3年以内に行うものとする。
施設処理部隊は機関施設へ接近する全ての民間人を排除しなければならない。
原則として発砲を禁止するが、やむ終えない場合に限り、発砲を許可する。許可権限は機密保持部隊長が持つのとする。
村人の殺処分と並行して入江機関にある機密情報の搬出および証拠隠滅作業が行われます。雛見沢大最後も長期間にわたって立ち入り禁止区域に指定されたのは、秘匿区画の完全撤去の時間を稼ぎ、部外者を近づけないための措置だったのです。
村内捜索
機密保持部隊は村内の完全捜索を行い、生存者がいないことを厳重に確認すること。
特に潜在患者集合時の点呼で確認できなかった人間については要注意。
尚、潜在患者の処分時刻以降に生存者を発見した場合には原則として、即時射殺を許可する。
但し、投降の意思のある場合のみ例外とする。他隊が投降者を得た場合には速やかに機密保持部隊に引き渡すこと。
機密保持部隊は投降者について、潜在患者処分と同じ方法にて処分すること。
撃たれて死ぬか、ガスを吸わされて死ぬか選べ、と言っているようなものです。滅菌作戦が発動した時点で村人の命運は決しており、生きて明日を迎えることはできなくなってしまいました。
アニメオリジナルの厄醒し編にてレナが山中を逃げている中で山狗の隊員に追いつめられる描写がありますが、この段階の作戦行動だったことが分かります。
完全撤収
全ての作戦を終了し、機密保持部隊は雛見沢地区から撤退する。
後続の一般部隊に不信惑を持たせないよう厳重に注意すること。
尚、機関施設は秘匿区画の完全撤去が終了するまで継続警備すること。
祟殺し編の圭一および厄醒し編の沙都子は、生存者として自衛隊に保護されています。つまり、この時点で村内に展開しているのは後続の一般部隊による災害派遣であり、機密保持部隊の取りこぼしであることが分かります。
避難誘導時に点呼も取れず、山中をさまよっていた状況の二人を短時間で見つけろというのも無理な話ですが、機密保持の観点からするとかなり危険な状況です。
圭一や沙都子が、もし滅菌作戦を目撃していれば口外したかもしれませんし、ガス災害により住民が全滅したという建前が成り立たなくなります。
しかし、その後は収容された病院で不審死を遂げることになるので、最終的には機密保持に成功しています。
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