【簡単解説】エヴァンゲリオンとはどんな話だったのか?五つの視点で解説します。

90年代アニメの金字塔ともいえる作品

新世紀エヴァンゲリオン

アニメ、漫画、劇場版(新・旧)とメディア展開し大人気を博しました。

緻密に作りこまれた設定を過剰ともいえる専門用語で装飾しつつ、意図的に確信をぼかして描写されたエヴァの世界に多くの視聴者が引きずり込まれました。

しかし、そういったスタイルの本作だからこそ「結局どんな話だったのか分からない」となる人も多いと思います。

今回は「新世紀エヴァンゲリオンはどんな話だったのか」について、アニメ、漫画、旧劇場版を中心に物語を5つの視点で解説します。

  1. 碇シンジ
  2. ネルフ
  3. ゼーレ
  4. ゲンドウ
  5. 使徒

概要

まずは大まかに本作の紹介をします。

詳細は割愛しますが、

  1. 人外の化け物が襲ってきた。
  2. 事前に準備した化け物に匹敵する兵器で対抗した。
  3. なんやかんやあって人類が滅亡した。
  4. と思ったら復活した。

以上。

シンジ視点

主人公の碇シンジは典型的な巻き込まれ型キャラクターです。

彼自身には特別な能力は備わっておらず、内向的でおとなしい、単なる中学生の少年です。彼は自分の意思とは無関係に物語の中心に据えられ、周囲の期待、というには余りにも重たい「人類を守る」という使命を課せられます。

では、なぜ彼が損なそんな役回りをさせられるのかというと、両親が人類補完計画と呼ばれる一大プロジェクトの中心人物だったためです。

母親はエヴァンゲリオン開発のメンバーで初号機に肉体ごと魂が融合。父親は母親と再会するために人類補完計画を利用して暗躍します。

その要になる初号機は、母親の魂を媒体にできるシンジにしか動かせません。たったそれだけの理由でシンジは物語の中心人物になりました。

作中では終始周りに流されるままに使徒と戦い傷付き、理不尽な大人の世界を心に流し込まれ、心身ともに疲弊します。とはいえ彼なりに世界に順応し、ある種の成長を見せます。

エヴァンゲリオンはシンジの成長を描いた物語であるともいえますが、作中の世界はそんな生易しい思惑では動いておらず、シンジの成長も結果論のオマケに過ぎません。

まあ、その成長のおかげで単一の生命となった人類は、再び個のカタチを取り戻すことができたわけですが。

ネルフ視点

シンジに近い立場に置かれるのがネルフ一行です。

ただ彼とは異なり、ある程度の事情を知ったうえで14年という歳月と莫大な予算、十分?な訓練を積んだ職員で構成されています。

ネルフの目的は使徒から人類を守ること、もっと言えば使徒とアダムの接触による生態系のリセット(サードインパクト)を防止するために使徒を殲滅することにあります。

ただしこれは表向きの役割であり、実態は人類補完計画に必要な実行機関に過ぎず、黒幕的存在のゼーレやゲンドウの持つ駒の一つです。

ネルフもまたシンジ同様に受動的な態度をとるしかなく、襲い来る使徒に対して応戦するほか手段を持ちません。また、ゼーレやゲンドウからは欺瞞情報を流されたり、そもそも情報を隠されたりと物語の中心にいながら蚊帳の外にいるという点もシンジ同様です。

結果、良いように利用されるだけされたネルフは真の目的である人類補完計画の礎になるのでした。

ゼーレ

本作の圧倒的黒幕、秘密結社「ゼーレ」

物語の表面に姿を現すことは非常に少ないものの、作中の展開のほぼすべてがゼーレの思惑に乗っ取ったシナリオに基づいています。

彼らの目的は群体の生命体として進化が行き詰ってしまった人類を、個で完結する生命に強制進化させることにあります。これは死海にて入手された「死海文書」という予言書に基づいた計画です。

死海文書は使徒及び人類の生みの親である「アダム」と「リリス」とともに地球に飛来したと考えられ、神とも呼べる第一始祖民族が残した取扱説明書の類です。

神が確実に実在し、予言の書に信憑性があるという点を除けば、単なる宗教団体ともいえます。

地球には手違いによりアダムとリリスという生命の源が二体訪れてしまいました。アダムには「生命の実」と呼ばれる永遠の命が、リリスには「知恵の実」と呼ばれる知性が与えられており、アダムから生まれた使徒は知性は劣るものの単一で永遠の命を持ち、リリスから生まれた人類は脆弱ではあるものの群体で高い知能を持ちました。

ゼーレのシナリオ「人類補完計画」は全ての使途を殲滅し地球上での生存競争に勝利したうえで、アダムとリリスを融合させることで単一で知性を持った新しい人類に進化することを意味します。

そのために必要な金、物資、人員、情報操作を執り行い、実行機関であるネルフを支援し、計画の遂行を図ります。

しかし終盤、ゲンドウの裏切りを察知したゼーレは日本政府をそそのかし、戦略自衛隊によるネルフ本部の奪還を行います。

そのさなか、ゲンドウによる人類補完計画が発動し、ゼーレの思惑とは異なるもののその過程で彼らの望んだ結果が得られたことで計画の成功を喜び、LCLへと還元されました。

ゲンドウ

碇シンジの父親であるゲンドウは本作における最重要人物と言えます。黒幕であるゼーレすらも利用し、自らの望みを叶えるために全てを投げ捨てて努力してきた人です。

彼の目的はただ一つ、初号機に取り込まれてしまった碇ユイに再び会うことだけでした。彼の妻であり、シンジの母親でもあるユイは初号機と融合してしまい救出が不可能となってしまいます。

唯一の心のよりどころであったユイを取り戻すために、ゲンドウはあらゆる手段を講じ、彼は人類補完計画に目を付けます。ゼーレが発案した人類補完計画は、知恵の実と生命の実を兼ね備え、個人を識別するATフィールドを消し去ることで単一の存在として永遠の時を過ごすというものでした。

それをゲンドウは利用します。完全に溶け合ってしまうと自分と他者の境界がなくなりユイを識別できなくなってしまいます。ゲンドウは自らがサードインパクトの中心となることで全ての魂が一か所に集まった時点で、自分の自我を持ちつつ他者としてのユイに会おうとしたのです。

旧劇場版にて、戦略自衛隊にネルフが攻め滅ぼされる中で、リリスの魂を持つ綾波レイと、アダムを移植したゲンドウの右手を融合させることでサードインパクトを引き起こそうとします。

しかし、すでに心がシンジに向いていたレイはゲンドウを拒絶し、シンジをベースにサードインパクトを起こすこととなり、彼の人生をかけた計画は頓挫しました。

使徒

様々な思惑や策謀が交錯する人間サイドとは異なり、使徒の目的はかなりシンプルです。

端的に言って生存競争です。

使徒はアダムベースの人類に相当する存在であり、アダムの作り出した人類のプロトタイプです。作中でネルフによって殲滅された彼らは、アダムから生まれる人類の可能性の一つ一つでした。

アダムが地球に降り立って少しした頃、遅れてリリスが地球に衝突(到着)します。ファーストインパクトと呼ばれる衝撃でアダムは機能を停止してしまい休眠状態になり、アダムの生み出していた使徒たちも同じく眠りにつきます。

そして西暦2000年にアダムが人類によって発掘されると活動を再開、アダムはロンギヌスの槍によって胎児の状態まで還元されますが、順次使徒は目覚め始めます。(セカンドインパクト)

目覚めた彼らは驚いたことでしょう。自分たちが繁栄するはずの地球に、よく分からん生き物がはびこっていたのです。

そして各々の使途は独自の思惑によって侵攻を始めます。

あるものはリリスと接触して既存の人類を消滅させようとし、

あるものはアダムと接触して生態系の上書きを図ります。

アダムに最初にたどり着いた使徒がアダムベースの人類として選ばれますが、我々とは異なり単一で完成している存在のため子を成すことはありませんが。

まとめ

普通に作品を視聴していると主人公であるシンジや、主要人物が所属するネルフの視点で物語が進行しますが、実際のところエヴァの世界はゲンドウやゼーレ、日本政府や使徒といった、シンジやネルフの与り知らぬところで方向性が決定づけられていたのです。

こういった視点で物語を見ていくと、新しい発見があるかもしれませんね。

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