【ネタバレ】ひぐらしのなく頃に「鬼隠し編」の真相を解説【解答】

ひぐらしのなく頃に
引用元:小説 ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編

「ひぐらしのなく頃に」の第一話である

鬼隠し編

読者に対するチュートリアル的な物語であることから、後の編に比べて話のスケールは小さくなっています。

にも関わらず、濃密に詰め込まれた謎と伏線は他の編に負けません。

本記事では「鬼隠し編」にて示された謎のネタバレ解説を行います。

鬼隠し編を読破済み、もしくはアニメ視聴済みの方向けとなります。


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鬼隠し編はどんな話だったのか

おそらくご存知の読者の方も多いでしょうが、鬼隠し編は前原圭一が雛見沢症候群を発症して疑心暗鬼に囚われてしまったがために起きた惨劇です。

圭一は物語冒頭に親戚の葬式で訪れた東京から雛見沢に帰ってきています。通常は数日程度雛見沢から離れただけで発症することはないのですが、鬼隠し編においては不幸にもレアケースを引き当ててしまいました。

物語開始直後から圭一はL3まで症状が進行しており、後に富竹から聞かされた雛見沢連続怪死事件をレナと魅音が隠したことをキッカケに悪化していきます。

結果、周りの人々は何も変わらないのに、圭一にとっては村全体が自分を消そうとしているのだと思い込むようになります。

終盤の彼はもはや正しく周囲を認識することすらできなくなっており、有るものが見えず、無いものが見える状態になりました。結果、お見舞いに来たレナと魅音に襲われたと誤認し、過剰な防衛行動を引き起こした末に撲殺し、末期症状により自らの喉を掻きむしって失血死してしまいました。

描かれた謎について解説

雛見沢連続怪死事件

作中の昭和58年まで4年続けて起きている事件を指します。1人が死んで1人が行方不明になるという奇妙な共通点があります。

被害者が部活メンバーの関係者であること、さらに村にとって不利益をもたらす人物であったという情報を大石から聞かされたことにより、圭一も村ぐるみでの殺人だと信じるようになります。

実際には連続怪死事件は雛見沢の誰とも関係のない意志により起きていることでした。村にとって不利益となる人物ばかりが犠牲者となったのは単純な偶然であり、雛見沢症候群の発症者による事件および研究組織である入江機関の暗躍であることが後に示されます。

つまり、作中で圭一が考えていたように彼自身が標的とされる理由は全くなかったのです。

圭一に謝っていた謎の存在

東京からの帰路、電車の中でうたた寝をしていた圭一に、誰とも分からぬ声でひたすら謝り続ける声が聞こえていました。

これはオヤシロ様である「羽入」の声です。

雛見沢症候群を発症した者には羽入の存在が朧げに認識できるようになります。羽入は繰り返される世界の中で部活メンバーが頻繁に雛見沢症候群を発症すること、それに対して何もできない自分に対する無力感から発症者の後ろを付き纏い謝り続けるという悪癖があります。

つまり、冒頭から圭一が雛見沢症候群を発症していることがわかる描写ということです。

レナと魅音が連続怪死事件を隠した理由

圭一は雛見沢に引っ越してきてから一ヶ月も経っていない転校生です。彼の持ち前の性格からクラスに馴染み友人もできましたが、まだまだ他所から来た人というレッテルは自他共に残っていました。

レナと魅音は、村に馴染もうとしてくれている圭一に対して、怖がらせたくない、村の印象を悪くしたくないという気遣いの心から事件の存在を隠したのです。

圭一自身も最初のうちは彼女たちの優しさを察して納得しようとしましたが、消えない疑心暗鬼の火がその考えを甘えだとして燃やし尽くしてしまいます。最終的には余所者である自分を消すために敢えて情報を隠したのだと曲解するにまで至りました。

おはぎの中に入っていた針

圭一が体調を崩して学校を休んだため、レナと魅音がお見舞いの品として手作りのおはぎを差し入れてくれました。

2人は圭一に対してレナの手作りはどれでしょうか、という宿題を課します。そして去り際に「明日、学校休んじゃ、嫌だよ」と不気味に告げられました。

すでに疑心暗鬼に陥っている圭一は魅音が圧をかけたような言い方をしたように見えていますが彼の誤解です。友達を心配し、明日は学校で楽しく過ごそうねという意味しか含まれていませんでした。

家に戻った圭一は宿題のためにおはぎを口にしたところ口内に違和感を感じ吐き出します。そしておはぎに裁縫針が仕込まれていたことに気づきました。

はい、これは圭一の疑心暗鬼が作り出した錯覚であり幻覚です。彼は幼少期に見た映画で食べ物の中に針やカミソリを入れるというシーンを見てトラウマになっていた時期があります。

無意識に「おはぎの中に何か入っていたら嫌だな」と思ってしまったが最後、雛見沢症候群の症状が進んでいた圭一には針の存在を感じてしまいました。

さらに悪いことに、魅音はイタズラでおはぎの中にタバスコを入れていました。その辛味=痛みが圭一の妄想を加速させ、吐き出したおはぎの中に針を見てしまったのです。

投稿した圭一がおはぎの件について憤った際に、魅音が「あんなのただのイタズラじゃん」と狼狽えたのも2人の認識に差異があったためでした。

当然、針なんて存在しないので後に大石に言われて針を捜索した際にも見つかるはずがありません。

レナと魅音が呼んだという「監督」

物語終盤、倒れてしまった圭一を自宅まで連れ帰ったレナと魅音が「監督」を呼んだと発言します。

圭一が知る情報から導き出される「監督」という存在は、連続怪死事件の最初の犠牲者である現場監督でした。

正気であれば馬鹿げた勘違いだと分かるのですが、圭一はこの時点でレナや魅音を含めた村全体が自分の命を狙っていると信じていたので恐怖により錯乱状態にあります。

実際にはここで言われていた監督とは、入江診療所の医師、入江京介のことでした。

入江は少年草野球チームの監督も務めており、子供達からは親しみを込めて「監督」と呼ばれていたのです。友達が倒れれば医者を呼ぶのはおかしくありませんが、しかし圭一は入江が監督と呼ばれていたなんてことは知りません。

ちなみに、雛見沢症候群の研究者であった入江は、この時点で圭一が発症していることを察しており、確保のために山狗を連れてきていました。

レナと魅音を撲殺した際に前原家を包囲していたのは彼らということです。

魅音の取り出した注射器と「富竹さんと同じ目に遭ってもらう」という言葉

圭一を介抱しおえると、入江が来るまでの時間潰しとして、おはぎの宿題を当てられなかった圭一は罰ゲームを課されます。

レナに羽交締めにされた圭一の目の前で魅音が注射器を取り出します。そして…

「富竹さんと同じ目に遭ってもらう」

そう言って圭一に魅音は迫ります。

富竹は綿流しの晩に自身の爪で喉を引き裂いて死んでいます。当然まともな死に方ではなく警察は薬物の投与を疑いましたがそれらしいものは検出されませんでした。

魅音の持つ注射器が、その謎の薬物だと確信した圭一は錯乱して2人を撲殺することになるのです。

しかし当然そんな注射器を魅音が持っているわけではありません。彼女が取り出したのは油性のマジックペンでした。圭一にはペン先の蓋を取る動作が注射器に見えてしまっていたのです。

そして「富竹さんと同じ目」とは、祭りの時に部活メンバーで富竹のシャツに寄せ書きをしたことを意味していました。

つまり、入江が到着すれば診察のために圭一のシャツを捲ることを見越した魅音は、圭一のお腹に落書きをしようとしていただけなのです。

そして、魅音が書こうとしていた言葉は

「早く元気にな〜れ⭐︎」

という、友人を心配する優しいメッセージだったのです。

まとめ

鬼隠し編の大部分は圭一の主観で物語が進行するため、彼の見聞きし認識した情報しか読者には提示されません。

そして雛見沢症候群により圭一の認知能力がメチャクチャになっていたため「信頼できない語り手」として立ち回ってしまっています。

一見すると、圭一は村ぐるみの犯罪に巻き込まれた被害者のようにも見えますが、実際には彼だけがおかしくなっており、周りの状況を正しく認識できなかったために起きた悲しい事件なのです。

落ち着いてみてみれば、圭一がただ誤解を重ねているだけで、レナや魅音の言動に不審なところはありません。すべてに合理的な理由が考えられます。

またTipsという幕間で挟まれる補足情報(アニメでは省略されています)からも、鬼隠し編で何が起こっていたのか正確に知るヒントは読者に提示されています。

物語中盤での圭一はかろうじて正気を保っていたため、自分が誤解しているのだと気付こうとしていました。

その立ち直りのチャンスを、村が持つ暗い歴史や、連続怪死事件の解決のために手段を選ばない大石の煽り、やむを得ない勘違いによって潰されていたのです。


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