ひぐらしのなく頃に:雛見沢大災害(終末作戦・滅菌作戦)のネタバレ解説

ひぐらしのなく頃に

ひぐらしのなく頃にシリーズにおいて、作中の昭和58年6月に発生する災害。

 

雛見沢大災害


多くの世界において発生しており、村人のほぼすべてが火山ガスに包まれて命を落とします。

この「災害」の真相について解説します。


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【概要】

昭和58年の中旬から下旬にかけて、多くの世界の雛見沢にて発生する災害です。

とある日の深夜に火山性ガスが鬼ヶ淵沼から噴出、雛見沢全域を覆いつくしてしまい、村民のほぼ全員が命を落とすという未曽有の大災害です。


その結果、2,000人ほどの命が失われ、雛見沢地区は有毒地域として長期間にわたって国によって封鎖されることになるのです。


また、このショックからか雛見沢出身者が異常行動を取ることが頻発し、俗に雛見沢症候群と呼ばれる社会問題に発展しました。


【真相】

いうまでもなく、雛見沢大災害は「自然災害」ではありません。

とある陰謀により人為的に引き起こされた大量殺人となります。


もともと雛見沢には「雛見沢症候群」とよばれる一般には秘匿されている寄生虫由来の風土病が存在していました。

政府が設立した極秘の研究組織である「入江機関」が診療所を装い村内で研究活動を行っています。


この病気は、ある種の寄生虫に感染することで感染者となり、空気感染で村人のほぼすべてが潜在患者となっています。


ただし、発症の条件は限られている上、発症しない間は無害であり一般には発見されていない病気です。

主な症状は極度の疑心暗鬼と攻撃性の増加、リンパ腺の異常な痒みが挙げられます。


発症条件は下記の二つです。

  1. 雛見沢から離れること。
  2. 強いストレスを継続的に受け続けること。


発症条件の「雛見沢から離れる」というのは、厳密には「女王感染者と呼ばれる特殊な感染者から離れる」ことを意味します。


さらに、女王感染者が死亡した際には潜在患者は急性発症を起こすとされています。


つまり、村人2,000人が集団で錯乱状態に陥り、凶暴化したうえで村外の自治体に流れ込むことになるのです。


それに対応するために女王感染者の死後48時間以内に村人全員を殺処分する緊急マニュアルも策定されていました。


雛見沢大災害は、この緊急マニュアルをとある勢力が「政治的アクション」のために意図的に引き起こしたものなのです。


【緊急マニュアルの内容】

女王感染者の死が確認された際に日本政府により発動が承認されます。

研究により、女王感染者の死後48時間以内に急性発症が起こるとされており、女王感染者の死後48時間以内に可及的速やかに実行されます。


作戦の第一段階として、陸上自衛隊内に編成された専門の部隊が展開します。

彼らは、現地の入江機関に配備されている防諜部隊「山狗」と合同で任務に当たります。

雛見沢地区の通信の遮断、および道路や山中を含めた村外へ脱出するルートを封鎖します。

電話はもちろん、無線も妨害電波を発して不通にするため、外界への情報を送ることはできません。


村の封鎖が完了した時点で、部隊は災害派遣を装って村内に展開します。

山中から火山性の有毒ガスが噴出したという名目で、村人を各避難所に用意した密閉できる建物に誘導します。

各地点に村人を集めたのちに建物を密閉。投擲型のガス兵器を避難所に投入し、村人の殺害を実施します。


避難所から脱走したり、避難誘導にて取りこぼした村人は、隊員によって射殺します。

皆殺し編では脱走した駐在警官から銃撃を受けつつも冷静に応戦し射殺しています。


射殺死体や不都合な証拠は山中の鬼ヶ淵沼に沈めて隠滅する手はずになっていました。


平行して入江診療所などの機密保持が必要な施設を封鎖したり、各種証拠隠滅を山狗を含めた部隊が実施します。


その後、世間には雛見沢でガス災害が発生したと報道し、本当の災害派遣として訪れた何も知らない後続の部隊に現場を引き継ぎます。


ガスの噴出場所とした鬼ヶ淵沼には射殺体等の証拠を沈めたうえで、ガス漏洩阻止の名目で完全にコンクリートで封鎖します。


【政治的アクションとは】

政府内には様々な派閥が存在しています。

そもそも雛見沢症候群の研究を支持していた派閥は、日本の軍事力を強化したいと考えており、

雛見沢症候群の兵器転用の可能性に期待を寄せていました。


敵兵を凶暴化させ同士討ちをさせた上に、発症末期には自身の喉を掻きむしって自死。

さらに感染者の死後には原因となった寄生虫も消滅するため、攻撃の証拠も残りません。

研究の末に治療薬を開発できれば、自軍には無害な生物兵器として計り知れない効果を持ちます。


しかし、その派閥の有力者が逝去した結果、大幅に発言力を喪うことになりました。

結果、雛見沢症候群の研究は3年での打切りが決定します。


研究に並々ならぬ熱意を注いでいた鷹野は大きく落胆しますが、そこに現在の政府と対立する派閥の工作員が接触します。


「雛見沢症候群の危険性を政府に認めさせれば研究は続行される」

「そのためには女王感染者を殺害して緊急マニュアルを実行させるのが最適である」


そうささやき、鷹野の最大目的である雛見沢症候群の重要性を国に認めさせるために、

彼女は古手梨花の殺害と滅菌作戦の実施を決意したのです。


しかし、その工作員を派遣した派閥には別の思惑がありました。

いかに危険な病に対処するための緊急避難措置とはいえ、村丸ごと2,000人の命を奪う作戦を実行すれば、政府内での責任問題は免れません。


その結果失脚した現行政府の空いた席に対立派閥が収まろうという魂胆があったのです。


鷹野に寄り添うような態度を取りつつも、その黒幕にとってはあくまで政治的なデモンストレーションにすぎず、雛見沢症候群の危険性などどうでもよかったのが実情です。


いずれにしろ、黒幕と鷹野の利害が(表面上)一致したため、多くの世界で意図的に緊急マニュアルが執行され、雛見沢大災害が引き起こされることになるのです。


余談ですが、その工作員は現行政府の工作員も兼ねており、おそらく対立派閥(黒幕)を潰すために政府が暗躍していたことが描写されています。嫌な世界ですね。


【雛見沢大災害が起こらなかった世界】

上述の通り、緊急マニュアルを執行する条件は「女王感染者の死」です。

しかしそれにはとある前提が存在しています。


それは「女王の死後48時間以内に集団発症が起こる」という条件です。


実際に集団発症が起こるかは、女王の死後48時間以降にしかわかりません。


しかし、それが起きてからでは手の打ちようがないのも事実。


では、この48時間の前提が正しいものと見做すしかない、というあいまいな根拠の上で成り立っているのです。


つまり、女王の死後48時間以降経っているのに、集団発症が起きていなければ緊急マニュアルを執行する根拠が失われることを意味します。


祭囃し編では、それに気づいた部活メンバーが梨花の死を偽装する「48時間作戦」を立案してます。


しかし実は別の理由でこの48時間の根拠が崩れた世界があるのです。

それが「綿流し編」「皆殺し編」です。

この二つの世界では、古手梨花は園崎詩音によって殺害(拷問を避けるための自死)されます。


その死体は園崎家の古井戸に投げ込まれ、古手梨花は行方不明という扱いになります。


山狗も皆殺し編や祭囃し編のような厳格な監視体制を敷いていたわけではないので、その足取りがつかめませんでした。

結果、作中終盤で警察の強制捜査が入り井戸の底から梨花を含めた死体が見つかり、ようやく消息が判明したのです。


この時点で、梨花の死から数日が経っていますが、村人の集団錯乱は起こっていません


作中で描写こそされていないものの、鷹野や黒幕たちは大騒ぎだったことでしょう。

いずれにしろ、緊急マニュアルの発動条件が誤っていたことが判明したため、この世界では雛見沢大災害は発生しませんでした。


ちなみに上述の通り綿流し編と目明し編での梨花は詩音による拷問を避けるために自死を選んでいます。

つまり、作品化されていない世界では詩音に拘束され拷問の限りを尽くされたうえで殺害された経験があるようです。

指に五寸釘を打ち込まれたうえで、生きたままハラワタを引きずり出されたのかもされたのかもしれませんね。

そして、その世界も恐らく緊急マニュアルは発動しなかったはずです。


【雛見沢症候群との関係】

綿流し編と目明し編の事例の通り、女王感染者の死により村人全員の集団発症というのは起こりません。

しかし、全く関連がないのかと言えば、そういうわけではないようです。


罪滅し編のエピローグで、雛見沢地区の封鎖が解かれた後の話があります。

平成に入って久しく、ほとんどの人々の記憶から薄れつつある雛見沢大災害を独自に捜査しているのは、警視庁公安部に勤める赤坂でした。


彼は大災害発生後に雛見沢出身者から話を聞こうとしたようですが、彼らの多くは自身の出身を隠して生活していました。

その理由は、災害発生直後から全国で雛見沢出身者の集団ヒステリーが起こったためです。

多くの事件が発生し、一時期は魔女狩り的に雛見沢出身者を弾圧する動きにまでなっていたようです。


そしてこの集団ヒステリーを「雛見沢症候群」と呼称していたとされています。

この名称の一致は偶然の一致でしょうね。


ここから分かるのは「女王感染者の死により急性発症が引き起こされることは間違いではない」という事実です。

間違っていたのは「感染者全てではなかった」ということです。


これらの世界では雛見沢の住人は全滅しているうえ、雛見沢症候群の研究も廃止されているため、真実にたどり着くことはないでしょう。

当時を知っている人はだんだんといなくなり、そして世界から雛見沢症候群という病気は根絶されることになるのです。


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